ファンドレイジングは「共感」から「共振」の時代へ

fundraising-tips コラム

共感が溢れる現代社会では、”共感”を元にしたファンドレイジングは限界で、”共振”が求められるのではないか、という仮説です。

そもそも、大前提として、受益者から直接お金をもらうことが難しい活動(難民支援や学習支援が分かりやすいです)において、事業を継続するために、別の部分でマネタイズをする必要があります。助成金や行政からの委託など様々に方法がありますが、寄付やクラウドファンディングは、その代表的な一つです。

ファンドレイジングの勉強をしていた際に、寄付を多く集めるためには、まず”共感”を集める必要がある、そのために、ストーリーが大切だ、と沢山学びました。ストーリーと言うのは、世界や日本には困難を抱えている人が〇〇人いて、彼らの現状は〇〇である。あなたの支援で彼らにとって、とても助けになる、というイメージです。(あくまで一例ですが)

この考え自体は、全くその通りで、共感はとても大切です。その上で、現代社会では、共感だけでは、寄付を集める、応援を集めるのが難しくなっていると感じることがあります。

例えば、クラウドファンディングサイトを見ると、沢山のプロジェクトがあり、どのプロジェクトも想いがこもっており、応援を求めています。

もちろん、そこに、優劣はありませんが、いざ支援しようと思うと、どれを応援するべきか、悩んでしまうことがあるのではないでしょうか。

また、SNSでは、友人や知人が「応援してください」というコメント共に、様々なシェアや投稿をします。僕らはその投稿に気軽に「いいね」はできます。「いいね」と押すことは、”共感”の一つの表明ですが、具体的な、特に金銭面でのサポートをしているわけではありません。(もちろん、「いいね」をもらうことも、嬉しいと思います)

クラウドファンディングの発展などで、夢や目標に向けて声を上げやすくなったために、より多くの人が自分の想いを元にしたプロジェクトを立てることができる。そして、SNSを多用して、それを発信していく。

その結果、現代社会は、”想い”が溢れている気がなんとなくします。それ自体は素敵な社会なのですが、一方で、それを受け止める側の人はどうでしょう?もし、”共感”を受け止められる量や、人数が大きく変わらないのであれば、その想いは、受け止められる人がいないまま、こぼれでてしまうのかもしれません。

(クラウドファンディングを一度でもされた経験のある人であれば、クラウドファンディングサイトにプロジェクトを出しただけでは、支援は十分に集まらず、地道な声かけと想いの訴えが必要であることは実感いただけるのではないかなと思います。)

それは、とてもとても勿体無いと思います。

では、どうすれば良いのでしょう。
キーワードは、”共感”から”共振”へ、だと思います。

クラウドファンディングでも、SNSの発信でも同様だとは思いますが、自分の想いをどのように伝えるか、どのような言葉で、どのような例えを用いて、どのような背景をもとにして、伝えていくかが、より大切になってくるかもしれません。

ポイントは、多くの人が何となく感じてはいるけれど、言語化、概念化できいないことを、納得感を持って提示することかなと思います。そうすると、読んだ人は「そうそう!これだ!私が考えていた、思っていたことは!」となる気がします。(もちろん、想い自体に優劣はないと思います。ただ、共感が溢れている現代社会にとっては、うもれていってしまうことがあるかもしれません)

もう一つが、「この人のやることなら応援する」と思ってもらえる人を増やすこと。(裏を返すと、そういう人間に自分がなること)

前者が、そのモノやコトに焦点を当てているのであれば、後者はヒトに焦点が当たっています。自分という人間自体の魅力を高め、ファンを増やしていくイメージに近いです。もちろん、そのためには地道な発信や他の人への思いやりなど、様々なことが必要になるでしょう。

共振というのは、共感よりも強く、その人の想いに同調しているイメージです。共振は、その人の想い、熱意にふれて、つい一緒に自分も動いてしまう、そんなイメージです。共感が必要ではない、という訳では全くなく、共感が溢れる今の素敵な時代だからこそ、”共振”があっても、求められてもいいのではないかと思います。

もちろん、想いを受ける側の、受けられる総量と、人数を増やすことも同時に必要だとは思います。ただ、想いを発信する側が、より一層工夫や情熱が求められる、そんな時代になってくるのかもしれません。

偉そうに長々と書いてしまいましたが、わたし自身、まだまだできておらず、人に共振してもらえるように、情熱を持って走っていきたいと感じる次第です。

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